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『自然の恵み』

2021.05.15ハーバーマスター日記
ある日の牛窓海岸

ある日の牛窓海岸

穏やかな瀬戸内海に面し丘にはオリーブが実る県下有数のリゾート地牛窓、この自然の豊かさに魅了され都会からの移住者も多い。
以前よりブログでも魚貝草類の採捕や山菜採りを牛窓移住のメリットとして紹介してきたが、厳密には条例に接触する内容も混在していたようだ。
しかし、最近一番驚いたというかショックだったのが、全国規模でのアワビ・ナマコ採捕禁止条例の強化だ。
令和2年12月の漁業法改正により違反者は3年以下の懲役又は3000万以下の罰金に処せられる。
牛窓生まれの私にとって磯辺は遊び場、四季折々アサリ、アワビ、サザエ、ニシ、ナマコ、ワカメ、モズク、トコロテングサ、テナガタコを採捕、
そして牛窓には殆ど生息しない高価なアワビだって潜って獲らなければセーフと認識していた。
それが、いつの間にやらマリーナの桟橋の下に転がっているナマコが大出世!
本来、無味無臭のナマコは食感だけの地味な存在、この辺りでは冬場海辺で拾って食うもので、わざわざ店で買う対象ではなかった。
それが中国での需要拡大で金になることから密漁者が急増、その抑止力強化の措置といわれているが…
それにしても、過去散々復活策を講じても激減したアサリ等と違い、養殖や放流も無く費用労力を一切掛けなくても一定数を保っていたのにこの措置は解せない。
何でも法の解釈上、道に落ちているナマコを拾った瞬間、岡山県海面漁業調整規則違反になるそうだ。
県(国)は冊子等で「海を愛する皆様へ」というタイトルで理解を求めているが、内容は実に一方的でドギツイ。
現在牛窓漁協においてナマコの採捕手段は潜水漁、箱メガネ漁の許認可はないので沖合での底引網漁のみ。
因みに私も漁協の準組合員であるが、採捕の術は全く無い。
だとすれば、磯辺に生息するナマコは永遠に採捕されず、逆に増えすぎて生態系に影響を及ぼしかねない?
過ぎたるは及ばざるがごとし、グアムのタモンビーチのようにナマコの糞だらけになるかも…
潜水器具使用の大掛かりな違法操業の厳罰化なら兎も角、海辺の住人が晩酌のアテに一つ二つ拾うぐらい大目に見てくれてもいいように思うのだが…
まあ、この改正議論が何処でどのように行われたか知る由もないが、禁漁区、禁漁期等の設定では対処出来なかったのか。
古来からの慣習無視、とりあえず何でもかんでも禁止の安易な措置は諸刃の刃、海辺の魅力低下に繋がりかねない。
性善説が通用しなくなった日本、このままいけばいずれ海は眺めるだけのものになり、「自然の恵み」は死語になる。