中古艇購入ワンポイントアドバイス

船のメカニズムや中古艇価格に詳しくない方でも理解しやすいよう

中古艇の購入先中古艇の購入の方法をまとめました。

皆様の愛艇選びの参考になれば幸いです。

中古艇価格について

 念願だったボート免許を取得したAさんは友人Bさんから新艇当時1600万、23年落ちの海上係留艇を200万で譲り受けました。しかし、不運にも購入直後エンジンが故障、その修理見積額は300万。結局費用の工面が出来ず修理を依頼した業者に50万という捨値で買い取ってもらうしかありませんでした。このように低年式艇の場合、修理代が購入額を上まわる事例は多々あるので注意が必要です。
 陸上で使用する車と海上で使用する船では、老朽個所、消耗度でかなりの相違点が見られます。 まず、艇体は波の衝撃によるクラック。エンジンは過負荷高回転によるオーバーヒート。プロペラやスタンドライブ等推進機関の電触。そして電装品は塩害による腐食等々、未経験の方にとっては実に驚く内容となります。(ここでは艇体、エンジンのチェック方法は割愛します。)
 さて、本題の中古艇価格には、整備渡価格と現状渡価格があります。
 整備渡価格とは、専門業者が修理再生したものに利益を乗せ、ある程度保証的なものを反映している関係、販売価格は多少高めの設定となります。 これに対し、現状渡価格は文字通り現状渡であるため、販売価格は安めの設定となりますが、不具合部分は売買後、購入者による修理再生が必要と成ります。

02.購入先について

中古艇の購入先は5分類され、それぞれの特徴は下記の通りです。

(1)メーカー系列の販売業者

 ヤマハ、ヤンマー、トヨタ、スズキ等、販売業者の多くはメーカーとの間で新艇の専買契約を結んでおり、扱う中古艇もそのブランドが大多数を占めます。一般的に店舗及び修理工場等の施設を有し、定期的に行われるメーカー主催のメカニック講習を受講、修理に必要なマニュアルや工具を常備、部品の供給もスムーズで安心感があります。販売物件は基本的に整備済渡であるため価格的には多少高めの設定となります。

(2)一般の販売業者

 メーカーとの間に特に専売契約はなく、本業は保管業(マリーナ)や修理業であり、中古艇販売は副業的に行っているため販売量はさほど多くありません。近年、民間マリーナでは艇販売と保管をセットにしたバリュー価格を打出しているところがあり、そこで保管を希望する方にとってのメリットは大きいと言えます。

(3)委託・仲介専門業者

 バブル期は海洋雑誌、現代においてはインターネットに見られるが、主に大都市圏にある国産大型艇や外国艇をボートオーナーの依頼により現地現状で販売。また修理や艤装を請け負った場合、下請け業者に発注するため費用は高額になり仕上りにも不安が生じます。従って交渉時は、将来メンテナンスでお世話になる業者の意見を参考にするとよいでしょう。
 また、仲介販売の場合は、購入後のクレームは前オーナーとの直接交渉となりますので、それなりのリスクを覚悟する必要があります。

(4)中古艇販売応援サイト

 ここ数年で市民権を得た応援サイト。ボートオーナーから売却依頼があれば、各エリアの特派員が現地に出向き取材。大量の画像とオーナーコメントを掲載、取材時の費用は無料で成約時に報酬を支払うシステム。但し、特派員は専門業者でないため、物件の説明やアドバイスは期待できません。また、ここで支払う報酬とは物販の手数料ではなく、サイト側は全くリスクを負わない広告宣伝料という扱いであるため、最終的には自己責任での購入となります。

(5)個人売買

 昭和の時代流行った専門誌での「売りたし買いたし」、現代においてはヤフオク、リップルタウン、メルカリ等インターネットを媒体とした売買、そして友人知人からの譲渡と業者を通さない個人売買は、中間マージンが掛からない分お買い得となるケースが多いのも事実です。しかし、低価格艇ならイチかバチかの購入もアリだと思いますが、やはり高額商品ともなれば専門知識がなければ大きなリスクを抱えた取引となります。そして、遠方からの回航、陸送には煩わしさが伴い、譲渡時の名義変更は細心の注意が必要となります。

 最後に、中古艇選びはオーナーの価値観により様々ですが、ロケーション・使用目的・購入後のランニングコストまで含めたシュミレーションを行い「買う楽しさと乗る楽しさ」を両立させてみてはいかがでしょうか。
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